数酸

数学に関して書き留めておこうと思ったものを気まぐれに。

ベルンシュタインの定理のイメージ優先証明

ベルンシュタインの定理

集合{ A }から集合{ B }への単射および{ B }から{ A }への単射が存在するならば{ A }から{ B }への全単射が存在する。

 

この定理の証明はイメージ的にはかなり素朴だと思うので、そちらを優先して冗長に説明してみます。

 

まず一般論から。

集合{ C }単射{ f:C \rightarrow C }があるとき{ C }上に、以下のような同値関係が入る。

{\displaystyle a \sim b  }

{ \Leftrightarrow }非負整数{ n }が存在して{ f^n(a)=b }または{ f^n(b)=a }

 

 この同値類の一つを{ E_i }とする。{ f }の定義域、値域を{ E_i }上に制限したものを{ f_i }とする。

このとき、きっちり証明を書こうとすると面倒くさいけれどイメージ的には明らかなことは

 

{ f_i:E_i \rightarrow E_i }は以下のいずれかと写像として同型

{p:\mathbb{Z} \rightarrow \mathbb{Z} } { p(x)=x+1}

{\displaystyle q:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{N} } { q(x)=x+1 }

{ m }を正整数として

{\displaystyle r: \mathbb{Z}/ m \mathbb{Z} \rightarrow \mathbb{Z}/ m \mathbb{Z} } { r([x])=[ x+1 ] }

但し{ m=1 }のときは一点集合上の自明な写像とみなす。

 

上の3つの型はそれぞれ、直線型、半直線型、円周型と呼べます。

 

定理のステートメントの集合{ A,B }に対して{ C=A \cup B }とすれば二つの単射{ C }上の単射を自然に誘導するのでそれを{ f }とする。{ f }{ A }の元を{ B }の元に、{ B }の元を{ A }の元にうつす。

 

この{ (C,f) }に対して上述の同値関係を考えて、写像をそれぞれの同値類に制限したものに分割する。するとそれぞれの同値類上で{ A }の元と{ B }が一対一対応していることを示せば定理は証明されるが、これはどの型においても{ A }{ B }が交互に現れることから明らかである(円周型の{ m }は必ず偶数であることに注意)。